ART AleRT SAPPORO 編集部 マンスリーピックアップ 2018年2月

2月の札幌といえば全国的に有名なのがさっぽろ雪まつり。一時期は地元民はなかなか足を運ばないイベントになっていましたが、近年は雪の白さを利用した大規模なプロジェクションマッピングや、大雪像を舞台にしてパフォーマンスを行っていたりと地元民も楽しめるイベントへと変貌を遂げつつあります。個人的には世界中の人が参加する国際雪像コンクールが毎回シュールで楽しみです。そんな感じで編集部のうちの1人が独断と偏見で気になるイベントを紹介するこのシリーズ。今回は雪まつりのご近所特集みたいなかんじで集めてみました。2月の札幌は雪まつりだけではないんです。(文:カジタシノブ)

 

開催中~2月11日(日) 札幌市北3条広場「アカプラ」
−雪と光のプロジェクト−さっぽろユキテラス2018

https://artalert-sapporo.com/events/detail/1447

北海道庁赤レンガ庁舎(北海道庁旧本庁舎)前の道路を2014年に広場としてリニューアルした通称アカプラ。ここでは毎年雪まつり期間中に雪と光をモチーフにアーティストによる札幌ならではの作品展開をする「さっぽろユキテラス」を実施しています。4回目となる今回は体験型の仕掛けが施された雪山や、かまくら内での作品展示のほか、夜には光のバルーンなど雪で覆われた世界を存分に体験できる作品が数々並ぶようです。氷で作られたアイスバーも夜にはオープン。雪まつり会場である大通公園からも近いので合わせて足を運ぶのに最適です。寒かったら札幌駅前通地下歩行空間(通称チカホ)を利用して行けばほとんど外を歩かずに2会場を行き来できます。

(2月7日追記)
2月25日まで18:30~20:30赤れんが庁舎外壁を利用したプロジェクションマッピングKAMORI Wonder Lightsが開催されており、ユキテラスとともに楽しむことができます。実際に見てきましたが作品の長さ(12分)、音響の良さ、映像の素晴らしさは雪まつり会場で多数開催されているプロジェクションマッピングよりも素晴らしく(個人的意見です)、足を運ぶ価値があります。

開催中~2月12日(月) 札幌市資料館
さっぽろ垂氷(たるひ)まつり2018

https://artalert-sapporo.com/events/detail/1426

さっぽろ雪まつり会場である大通公園の西端にある歴史的建造物「札幌市資料館」を会場に、こちらも雪まつり期間中に実施される「つらら」をフューチャーしたイベント。3年に1度開催の札幌国際芸術祭から派生したSIAFラボが手がけるつららをテーマにした展覧会で、今年3回目を迎えます。資料館入り口には昨年よりさらに精度が上がった回転式巨大つらら造形マシンや、室内には曲がりくねったつららを人工的に作るマシンなどが展示。北国でなければ見ることができないつららを多角的に楽しむことができます。実際に採取したつららを3Dスキャンしたグッズの販売や制作ワークショップも。夜には入り口の回転式巨大つらら造形マシンがライトアップされていて、なんだか幻想的な雰囲気に。雪とはまた違った北国の象徴であるつらら。雪像とともに楽しめそうです。

 

開催中~3月2日(金) 北海道文化財団アートスペース
磯 優子 個展 「私という重なり」
https://artalert-sapporo.com/events/detail/1383

こちらも雪まつりの会場である大通公園のすぐとなり、北海道文化財団のアートスペースで開催されている磯優子さんの個展。磯さんは個人的にとても注目している作家さんの1人。とりあえず札幌から10人平面作家選べ!って言われたら今なら絶対選びたい。版画とCGを駆使してシンプルで洗練された線で構成されながら多彩な表情と肉体を見せてくれる女性たちを描く作家さん。CGだけではないからこそ感じられる柔らかな質感も実物を是非目にしていただきたい。磯さんは昨年は宮の森美術館から発信されたアートとカフェを楽しむ円山宮の森散策mapのデザインを手がけるなどデザイナーとしても活躍。また3月7日から東京の3331で開催される3331ART FAIRにも出品予定などすでに活躍の幅がすごい勢いで増えてらっしゃる様子。会場である北海道文化財団アートスペースが平日17時まで、しかも土日祝日は閉まっているというなかなか狭き門ですが、タイミングが合えば是非。

 

2月7日(水)~2月12日(月) 教育文化会館小ホール
札幌演劇シーズン2018冬 レパートリー作品 弦巻楽団『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』

https://artalert-sapporo.com/events/detail/1374

もうしつこいですが、こちらも雪まつりの会場である大通公園のすぐそば(といっても大通公園は1〜13丁目までありますが)、教育文化会館で開催される演劇作品。過去に札幌で上演された数々の作品の中から優れたものだけを選び1ヶ月間に5作品上演する企画札幌演劇シーズン。年2回開催されるこのイベントは昨年冬から、演劇シーズンで上演したものの中から厳選した作品を再度上演する「レパートリー作品」という枠を設立。今回のレパートリー作品は以前若手演出家コンクール2014で最優秀賞を受賞した際にインタビューにも出演いただいた弦巻啓太さん率いる弦巻楽団による『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』が上演されます。恋愛を幻想としか思わないシェイクスピア専門の大学教授がラジオの声に恋をしちゃって大暴走するラブコメディ。過去のレパートリー作品も演劇初見の人でも楽しめると好評なようなので、今回も要注目です。公演特設サイトではより詳しい情報もご覧いただけます。

 

2月15日(木)・16日(金) PROVO
川上未映子×マームとジプシー MUM&GYPSY 10th Anniversary Tour vol.2 「みえるわ」​

https://artalert-sapporo.com/events/detail/1417

東京ではチケットがほとんど手に入らないほどの人気団体である演劇団体マームとジプシー。率いる藤田貴大さんは北海道伊達市出身。昨年札幌国際芸術祭2017で行われた企画「さっぽろコレクティブ・オーケストラ」に演出協力として参加(同企画コンダクターの大友良英さんとの対談記事)。また同時期に10周年第1弾ツアーとして札幌でも初めて公演が行われました。今回の10周年第2弾ツアーは小説家・川上未映子さんとの共作。書き下ろしを含む複数の詩を演劇として表現するとのこと。2013年から続く川上未映子氏とマームとジプシーの新たな表現を見られる貴重な機会です。と思って今見たらチケットソールドアウトでした。気になった方は今後札幌で公演がある時は早めにご購入を。公演の前日である2月14日には先程ご紹介した北海道文化財団アートスペースにて藤田貴大さんと俳優の青柳いずみさんを迎えてのトークが開催とのこと(詳細)。限定30名ですがまだ発表されたばかりですので気になる方はチャンスです。

 

 

 

というわけでさっぽろ雪まつり会場を中心にご紹介した今回。とはいえ2月は雪まつり期間以外にも、札幌中心部でなくとも様々なイベントが開催されています。是非ART AleRT SAPPOROでチェックしてみてください。また、あまりART AleRTには掲載されていませんが2月は卒業制作展シーズンでもありますので若い力を見に行くのも一興です。学校の関係者の方は是非開催情報お送りください!(イベント情報提供はこちらから