ART AleRT SAPPORO 編集部 マンスリーピックアップ 2018年1月

2018年、あけましておめでとうございます!AA編集部マンスリーピックアップ、年明け一発目をお届けします。編集部の1人が独断と偏見で気になるイベントを紹介するこのシリーズでは、登録されているイベントの中から1ヶ月間のあいだに筆者が「見たい!」と思うイベントを日付順に紹介していきます。おでかけの際、ちょっと何か見に行きたい気分、そんなときにぜひ使ってみてください。(文:山本曜子)

 

1月12日(金)-28日(日) ギャラリー門馬&ANNEX

ノーザンアーツ コラボレーション -睦月-

北欧と北海道とを結び、それぞれの作家を紹介する独自のキュレーションを2012年から手がけている多田浩二さん。筆者は彼の主催する展覧会を楽しみにしています。多田さんの選ぶ北欧在住作家の作品に、いつも新鮮なインパクトを受けるのがその理由。今回はフィンランド作家7名、北海道作家7名、合わせて14名ものアーティストの作品が一堂に会する、錚々たるグループ展。会場となる旭ヶ丘のギャラリー門馬で、北欧や札幌が美しさを増す厳冬の雪景色をバックに、さまざまな表現や作品との出会いが待っています。同じ北国にあって共通する感覚、また異なる点を探してみるのも楽しそう。初日12日(金)18時からはオープニングパーティーが開催されるので、こちらも足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

1月20日(土)-28(日) 生活支援型文化施設コンカリーニョ

イレブンナイン「サクラダファミリー」

年2回夏と冬、札幌の演劇モードが全開になる「札幌演劇シーズン2018-冬」は今年も1月20日にスタートします。一定の期間に1つの劇団がそれぞれ人気の1作品を再演し続けるという、演劇好きの人はもちろん、初めて演劇に触れる方にも絶好の機会。今回は札幌が誇る5つの劇団のレパートリー作品を市内各所で体験できます。そこでまさに演劇初心者の筆者が気になったのが、イレブンナインの名作「サクラダファミリー」。タイトルにクスッときて内容を追うと、頑固で気難しく横暴な上にバツ6で家族中の嫌われ者、という猛者のオジイさんが、2017年の大晦日に7人の妻と7人の子どもたちを集めて、自身の秘密を暴露する…この筋書きのあまりの不穏さと興味深さに、つい舞台をのぞきたい心持ちに。先月のコラムでカジタさんが「エンターテイメントの名手で実力派俳優」と評していた納谷真大さんの存在も気になるところ。家族とは、個とは、血の繋がりとは…普遍的かつ奥の深い命題に触れつつ、とにかくライブ感を味わいながら鑑賞してみたい作品です。

札幌演劇シーズン2018-冬 公式サイト

 

1月20日(土)-2月24日(土) CAI02

ミヤギフトシ「The Dreams That Have Faded/いなくなってしまった人たちのこと」

沖縄出身のミヤギフトシさんによる北海道初の個展。彼は自身の記憶や体験に向き合いながら、国籍や人種、アイデンティティといった主題を落とし込んだ作品で知られるアーティストです。2016年のあいちトリエンナーレ「交わる水-邂逅する北海道/沖縄」で発表した北海道・オホーツク海を始めとした海にまつわる5つの映像インスタレーションを再構成した作品や写真が展示されます。注目したいのは、ミヤギさんが北海道を題材にするにあたって手がかりにした本が『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』(津島佑子著)だったということ。かつて網走にもその一部の人々が居住していた樺太の少数民族ウィルタを軸にした物語を通して、ミヤギさんが北海道という土地に残る声を聴きとり、伝えようとしたものとは?北海道がもつ歴史の一面を垣間見るという意味でも、個人的に見逃せない展覧会です。

蛇足ですが、筆者は網走で今もつくられているウィルタの木偶「セワポロロ」を偏愛しています。ちょっととぼけた(失礼)表情の神様で、網走の北海道立北方民族博物館ではウィルタの人々のつくった古いセワポロロも見られます(さらに蛇足ですが、この博物館は北方民族や民具に興味のある人には絶対オススメ!)。

また、21日(日)は北海道大学総合博物館にてミヤギフトシさんによる上映会&アーティストトークが開催されるので、詳しくはタイトルリンク先でご確認を。

 

1月21日(日) BHFホール

キセル「The Blue Hour」発売記念ワンマンTOUR 2018

狸小路2丁目プラザ2.5ビルの地下に2017年オープンした劇場形式のBHFホール。ふわりと漂うような雰囲気に、しっとり聴かせるサウンドが持ち味のキセルには、こんな座席タイプのコンサートも似合っています。兄弟ならではの息のあった柔らかい声のハーモニーに、ギターやベースの生音、デジタルミュージックが織りなす世界。ここにいながらどこか遠くの風景に迷い込むような不思議な感覚は、生だからこそ味わえる一期一会の体験です。是非じっくりと身をゆだねてみて。

ニューアルバム『The Blue Hour』特設サイト

 

そして、おかげさまでART AleRT SAPPOROは1月15日でサイトオープンから3年目を迎えます。いつも当サイトを訪れてくれる皆さま、応援して下さる皆さま、ありがとうございます!今年も札幌の気になるイベントをどしどし発信していきますので、どうぞご利用くださいね(そして引き続きボランティア運営ゆえ物理的な応援も募集中…!新年早々恐縮ですがこちらもよかったらご覧くださいませ!)。