サンミー・カン『旅することのない絵葉書』
Sun Mee Kang "A postcard without traveling"
さっぽろ天神山アートスタジオ
- ART
私の作品は、場所と空間から大きなインスピレーションを得ています。私にとって、新しい場所や空間は、新しい物語を創造するための素晴らしいキャンバスとなります。私は「存在」と「無」という概念を探求することに興味があり、「存在」と「無」の関係を観察しています。この2つの概念は、私たちが住む空間の中でさまざまな現象となって現れます。私はこれを観察し、哲学的な思索を引き起こすような作品に発展させています。
さっぽろ天神山アートスタジオでの滞在中に行おうとしたプロジェクトのために、私はインスピレーションを求めて様々な場所を旅しました。最初に訪れた古本屋で、現代の端末(*スマホやパソコン等の)の黒い表面(モニター)に映し出されている『映像として消費される文字』とは対照的な力を放つ文字に出会った。(古本の)色あせた紙に触れると、時間の痕跡を感じました。
もうひとつの感動的な場所は、札幌の公園でした。公園は私にとって札幌の最大の魅力であり、市民に寛大で静かな憩いの場を提供している。その中でもモエレ沼公園は特に強い印象を残しました。
埋立地だった場所が公園として生まれ変わり、ようやく元の姿に戻ったと感じたのです。時間の流れの中で、人間の欲望によって生命のイメージは変化・進化し続けますが、最終的には本質に戻るという大切なことを、この場所を通して改めて実感しました。創られては消え、存在しては消え、その中で最も本質的なものは何なのかを常に考えながら、それらすべてを認めていく。
今回の展覧会では、ドローイング・インスタレーション作品を通して、このコンセプトを伝えたいと考えています。会期中だけ存在し、会期終了後は完全に解体されるドローイング・インスタレーションは、その内容だけでなく、物質性によっても存在と不在を表現する手段となります。
また、さっぽろ天神山アートスタジオでの滞在制作で、初めて挑戦するポストカードドローイングやオブジェ作品も展示します。
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このプロジェクトを始めたきっかけは、北海道大学の近くで偶然見つけた一組の絵葉書でした。1980年代に印刷された53枚の絵葉書は、40年以上も送られることなく箱の中にきちんと保管されていたのです。絵葉書は誰かの手に渡る運命をそもそも持っていますが、私が出会ったこれらの絵葉書は、自分の空間に閉じこもったままでした。旅をしていない絵葉書には内容も物語もありません。誰かに見せるためだけの、意味のない凍りついたままのイメージなのです。
さっぽろ天神山アートスタジオでの滞在時間は短かいものでしたが、毎日ここを訪れる地元の人々の反応を観察しました。人々は満開の桜を楽しんでいました。室内で展覧会を楽しむ人もいれば、時にはピアノを弾いたり、本を読んだり、窓際に座って静かに自然を愛でる人もいました。アートには、誰かに静かに語りかけ、反応を引き出し、思考を促す力があります。今回の滞在制作活動を通して、私も自分の作品を発展させ、その過程で生まれた新しい物語を、この場所を訪れた人たちと共有する貴重な機会を得ることとなりました。
INFORMATION
このイベントは終了しています
- 日程
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2024年05月14日(火)〜2024年05月19日(日)
- 時間
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9:00 - 21:00
- 入場料
無料
- アクセス
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札幌市豊平区平岸2条17丁目1-80(天神山緑地内)
- ◎地下鉄 南北線 澄川駅 徒歩11分
- ◎地下鉄 南北線 南平岸駅 徒歩14分
- お問合せ
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011-820-2140 天神山アートスタジオ
This event has ended.
- SCHEDULE
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2024/05/14 [Tue]〜2024/05/19 [Sun]
- TIME
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9:00a.m. - 9:00p.m.
- FEE
Free
- ACCESS
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(Inside Tenjin-yama park) 1-80,2-17Hiragishi,Toyohira-ku,Sapporo
- Nanboku Subway Line Sumikawa Station 11minute(s)walk
- Nanboku Subway Line MinamihiragishiStation 14minute(s)walk
- CONTACT
-
011-820-2140