映像ミュージアム2016 フィオナ・タン-どこにいても客人(まれびと)として

Fiona Tan : As a Marebito in Anywhere

北海道立近代美術館

  • MOVIE
  • TALK

「興味深い時代を生きますように」 May You Live in Interesting Times 1997

Courtesy the artist, Frith Street Gallery, London and Wako Works of Art,Tokyo

フィオナ・タンは、中国系の父とオーストラリア人の母の間にインドネシアで生まれ、少女時代をオーストラリアで過ごした後にヨーロッパに移り住みました。多様な文化や言語圏を往来し、複数の文化的アイデンティティを体現する作家と言えましょう。
タンには、『Marebito』(2001)<客人まれびと=異邦人の日本古語>というタイトルのアーティストブックもあり、作家自身、自らの異邦人性を常に意識してきました。その作品は基本的に、集団や個人における文化的差異がいかに記録され、また人々の記憶に留められてきたかを繊細に問いかけるものとなっています。
本映像展では、インドネシアでの反中国人暴動によって離散した自らの家族の体験を追う初期の代表的作品「興味深い時代を生きますように」と、映像を断片にして再び構成し直すことで、映像の虚構と現実の間をさぐる「影の王国」の2本をご覧いただくことで、フィオナ・タンの世界に触れていただこうとするものです。

◯フィオナ・タン Fiona Tan
1966 年、ブカンバル(インドネシア、スマトラ島)で中国系の父とオーストラリア人の母のもとに生まれ、少女時代をオーストラリアで過ごす。88 年にヨーロッパに移住し、アムステルダムを拠点に活動している。オランダのリートフェルトアカデミーやライクスアカデミーで学んだ。1997 年にヨハネスブルク・ビエンナーレに出品したのを皮切りに、横浜トリエンナーレ(2001)、ドクメンタ(2002、2007)、イスタンブール・ビエンナーレ(2003)、シドニー・ビエンナーレ(2006)など数々の国際展に参加、2009 年にはヴェネツィア・ビエンナーレのオランダ代表に選出された。日本では「フィオナ・タン-エリプシス」(金沢21 世紀美術館、2013)、「フィオナ・タン まなざしの詩学」(東京都写真美術館・国立国際美術館、大阪、2014)などの大規模個展が開催されている。最近は商業映画も試み、初の映画作品「History's Future」がロッテルダム国際映画祭で上映された。

◯上映作品詳細
興味深い時代を生きますように
May You Live in Interesting Times

1997|16mm|60min|作家蔵
華僑として世界中に散らばる親戚を作家が訪ね、インタビューを試みるドキュメンタリー。フィオナ・タンの一族はインドネシアで起きた反中国人暴動によって、同国をおわれ世界各地に離散する。タン家は、ヨーロッパに逃げ、オーストラリアに移住、その後フィオナはオランダ、ドイツに渡り、アーティストとなった。映画の中で彼女は、オーストラリア、香港、インドネシア、中国、ドイツなどをまわり、血縁者に
会うが、それはまさに「自分は何者なのか」というアイデンティティを確認する旅だった。離散した血縁者がたどった多難な人生に対して、作家がアイロニカルにつぶやいたのが「興味深い人生を生きますように」という中国の格言である。

影の王国
Kingdom of Shadows

2000|DV|50min|東京都写真美術館蔵
「世界がひとつのアーカイヴなら、自分はどのイメージを選ぶだろう」。本作はフィオナ・タンのそのような問いかけから始まる。写真や映像がいかに私たちの認識を変えうるか、残された写真のイメージとどのような関わり合いを持てばよいのか。作家は、美術家アルフレッド・ジャーをはじめ、写真の収集家やアーキビストを訪ねて問いを重ね、多くのフィオナ・タン作品に通底する写真論・イメージ論が凝縮したドキュメンタリーとなった。タイトルは、1896 年にロシアの作家マキシム・ゴーリキーが、リュミエール兄弟のシネマトグラフを初めて見て記した「昨夜、私は影の王国にいた」という言葉にちなんでいる。

◯関連事業
特別レクチャー
「フィオナ・タンから現代アートを考える」
講師:市原研太郎(美術評論家)
3 月13 日(日) 15:30~(約60 分)


フィオナ・タン作品のもつ多文化主義、フェミニズム、映像という三つの要素はそれぞれ現代アートを読み解く重要なタームとなっています。今回は、世界中のアートを深く見つめてきた市原研太郎氏に、現代アートに不可欠な三要素とアートの現況をお話しいただきます。当館講堂にて 聴講無料<先着230 名>

市原研太郎(いちはらけんたろう)
美術評論家。とりわけ各国の国際展に詳しく現代美術批評を各種メディアに寄稿多数。著書に、『アフター・ザ・リアリティ―〈9.11〉以降のアート』(2008)、『現代アート事典』(2009)など。『Identity Ⅳ』(2008)、『Reality/Illusion』(2010、ベルリン)等の展覧会企画も手掛けている。フィオナ・タンのアーティストブック「まれびと」の名付け親でもある。

INFORMATION

このイベントは終了しています

日程

2016年03月12日(土)〜2016年03月13日(日)

時間

13:30(開場13:00)

入場料

無料 無料

先着230名

アクセス

北海道立近代美術館

講堂


札幌市中央区北1条西17丁目

  • ◎地下鉄 東西線 西18丁目駅 出口4 徒歩5分
お問合せ

011-644-6881

This event has ended.

SCHEDULE

2016/03/12 [Sat]〜2016/03/13 [Sun]

TIME

13:30 (open13:00)

FEE

Free

the first 230 arrivals.

ACCESS

Hokkaido Museum of Modern Art

auditorium


N1-W17,Chuo-ku,Sapporo

  • Tozai Subway Line Nishi 18 jyuhacchome Station Exit4 5minute(s)walk
CONTACT

011-644-6881

一覧へもどる

NEAR BY EVENTS

近隣施設での開催中のイベントはありません