REPORT/INTERVIEW

  • 北海道と九州をつなぐ新たなアート活動支援プロジェクトが クラウドファンディングをスタート

    札幌を中心にコンテンポラリーダンス・舞踏のプロデュースを行っているCONTE-SAPPORO Dance Center代表/北海道コンテンポラリーダンス普及委員会委員長である森嶋拓さんが、新たに九州と北海道を繋ぐ継続的なプロジェクトを開始する。

    森嶋拓氏

    森嶋さんはこれまでにも札幌を中心に発表・交流・育成を様々な形で継続的に行ってきた。2017年からは北海道舞踏フェスティバルを開始。優れたダンサーを鑑賞できる機会の創出、アーティスト同士の交流を行ってきた。森嶋さんの多様な取り組みが継続的に行われていることで、札幌でのコンテンポラリーダンス公演は着実に増え、存在感が日に日に増している。

    幌国際舞踏フェスティバルの様[札幌国際舞踏フェスティバルの様子]

    森嶋さんが次に着目したのが九州だ。日本の北と南、風土や歴史に共通点がなくとも、抱えている課題には共通点が多いと言われてる。実際、札幌では他都市と比較をする場合、規模的にも近い福岡を比較対象に語られることが多い印象がある。

    共通点を持つ地域の人々が交流していくことで、単独では解決できなかった課題解決への道が開けたり、そこまで至らなくともヒントを持ち帰る可能性もあるだろう。しかし札幌と九州、交流があるかと言われると、継続的な交流はほぼ行われていないのが現状だ。また、いざ交流したいと思っても足がかりとなるものがほぼないため始めること自体が難しい。

    森嶋さんはそれまでの活動を礎として、北海道と九州を結んで継続的に交流を深める「北海道×九州のアート活動支援プロジェクトプロジェクト」を計画。2023年にはアーティストがそれぞれの土地へのリサーチを実施し、その内容を元に公演を行っていく予定だ。

    [森嶋さんは札幌のアーティストとともに2022年11月に九州へのリサーチ&ライブツアーを実施]

    こういった地域を跨ぐ取り組みはまだまだ実験的な要素が高く、過去にはイベント単発で終わってしまうパターンも散見された。その場合、その後の交流はそれぞれアーティストの自主性に任すことになってしまう結果、アーティストそれぞれが繋がっているに留まってしまったり、交流機会がなく関係が経ち消えてしまう場合もあり、確実に効果があるとはいえない。

    北海道×九州のアート活動支援プロジェクトでは単発で終わらせず、少なくとも10年はプロジェクトを継続。イベント的な成果よりも、ゆっくりと時間をかけて交流を続けていくことで、よりよい関係性を築く場とすることを目指す。

    このプロジェクトを始めるにあたり、MotionGalleryにてクラウドファンディングを開始した(2023年1月31日まで)。このクラウドファンディングもイベントを実現するための金銭的達成がメインの目標ではなく、プロジェクト自体を多くの人に知ってもらうことを目標として行われている。

    クラウドファンディングから始まる「北海道×九州のアート活動支援プロジェクトプロジェクト」が今後どのような効果を地域にもたらしていくのか、長い目で活動を見守っていきたい。


    クラウドファンディング
    北と南を芸術と文化で繋ぐ!北海道×九州のアート活動支援プロジェクト
    (音楽、ダンス、美術、演劇、郷土文化、食文化など)

    https://motion-gallery.net/projects/kita-to-minam

  • 「雇用」というアーティスト支援の新しいかたち。AVANTIST PROJECTが募集開始。

    今年度から札幌市はアーティスト自身を支援するだけでなく、アーティストの中間支援プロジェクトに対しての補助金交付を開始した。新型コロナという未曾有の体験が生んだ1つの新しい取り組みとしてにわかに注目を集めているが、こういった取り組みを始めたのは行政だけではない。新型コロナを契機として民間でもアーティストを支援する新たな取り組みが始まった。

    2022年6月にオープンしたGALLERY CLACはアーティストにあった職種や雇用条件で働きながら制作に打ち込める生活環境づくりを支援するAVANTIST PROJECT(アバンティストプロジェクト)を開始した。

    これは現実に即した新たな支援のかたちだ。アーティスト活動を専業として活動している人はとても少なく、なんらか別の経済活動を並行して行っている、いわゆる兼業アーティストがほとんどだ。その中には、いずれは専業となることを目指す人もいれば、兼業アーティストとしてバランス良く継続的に取り組んでいる人もいる。しかしコロナ禍により、そういった形が困難になり創作活動をやめざるをえないという選択肢を選ぶ人も出てきてしまった。

    そういった現状を知ったGALLERY CLACはサポート企業とともにアーティストの活動を「雇用」という形で支援を行っていくAVANTIST PROJECTを企画。各々の活動形態に即した雇用をすることで経済活動面の支援をするとともに、GALLERY CLACでの発表支援を行っていく。

    このプロジェクトは採用という問題を抱えている企業にとっても課題解決の可能性を含んでいる。通り一辺倒な福利厚生だけでなく、アーティスト活動の支援を前提とした雇用を行うことは新たな人材の掘り起こしにも確実につながるだろう。さらには企業イメージの向上やPRの新たな形へと繋がっていく可能性も十分に予想される。

    応募については履歴書とポートフォリオの提出のみ。ポートフォリオについてはステートメントや活動への思いを文章にしたためる形でもOK。働き方についてはサポート企業と直接面談を通して最適な形を一緒に探していくとのこと。募集条件も非常に幅広く、多くのアーティスト(およびそういった活動をしたい方)が当てはまる。

    プロジェクト名AVANTIST(アバンティスト)はフランス語のavant(前)+artist(アーティスト)を繫いだ造語だ。この言葉には、別の経済活動をしながらアーティスト活動をしている人をフリーターと見てしまう世間への新たな価値の提示でもある。兼業アーティストをフリーターではなく「アバンティスト」という名称で呼ぶことで、社会からの見え方は大きく変わっていく。そういった思いを込めてプロジェクト顧問でありアーティストの藤沢レオさんが命名した。

    アバンティストプロジェクトは今回だけに限らず継続的に行っていくことを目指しているとのこと。今後サポート企業についても増えていくことを目指していく。この新しい動きが札幌にどのような新たな価値を生み出していくのか。今後の動きに注目していきたい。

    詳細については以下の募集要項をご確認ください。(〆切2022年10月30日)


    AVANTIST PROJECT

    このプロジェクトはgallery CLACが主体となり、 アーティストが次のステップに踏み出すための 継続的支援を目的とした取り組みです。
    私たちはアーティストを雇用し、個展開催をバックアップします。

    gallery CLACを始めるにあたり様々な工芸家やアーティストの方とお話しする機会をいただきました。その中で作家活動のみを生業として生活できている人は一握りしかいないという現実を知りました。多くのアーティストは生活のためにアルバイトをしながら空いた時間と少しの予算で制作をしているそうです。
    しかし、昨今のコロナ禍においては、それすらもままならず制作活動を辞めざるを得ないアーティストもたくさんいるとききました。アートに関わるものとして、現状に一石を投じたいと強く思いました。素晴らしいアーティストに安心して作品を制作してもらい、それを発表する機会を用意できたら。そんな思いからアバンティストプロジェクトは生まれました。

    ▼概要
    サポート企業と連携し、アーティストにあった職種や雇用条件で働きながら 制作に打ち込める生活環境づくりをサポートします。
    アバンティスト採用後半年から1年以内にgalleryCLACにて 個展を開催することを一つの目標とします。

    ▼募集対象/条件
    ・札幌市もしくは近郊で熱意を持ってアーティスト活動をしている方、またはアーティストを目指している方
    ・活動の場や表現の範囲を広げたい方
    ・仲間やチームを作りたいと思っている方
    ・個展を開催したい方・アーティストではなくてもアート事業に関わりたいと思っている方
    ・ギャラリー運営やプロジェクト運営に興味がある方
    ・札幌市内で働ける方

    ▼選考方法
    書類・ポートフォリオの提出 → 一次面談 → 二次面談 → サポート企業面談 → アバンティスト認定

    ▼応募について
    期間/2022年9月13日-10月30日
    写真付き履歴書と作品ポートフォリオ (ステートメントまたは活動への思いを含む)を
    下記メールアドレスへ送ってください ※書式自由
    gallery.clac@gmail.com

    主催/gallery CLAC
    代表/佐々木 剛(gallery CLAC 代表)
    顧問/原 ななえ(“FURNITURE DESIGN AGRA” “Deer Park” デザイナー・造形家)
    顧問/藤沢 レオ(アーティスト・金属工芸家・NPO法人樽前arty+ディレクター)
    サポート企業/株式会社 COTOTORI

    募集要項PDF版はこちらから

  • 2つの顔を持つ柔らかな空間「十年二十年」がオープン

    2022年6月5日にオープンした『十年二十年』。手仕事で作られた工藝品を販売するショップと道外作家を中心に紹介する企画ギャラリーという2つの顔を持ったこの空間は、両方を同時に1つの空間で行っているのではなく、時期によって全く異なる場所のように空間全体を使って行われています。
    行くタイミングによってまるで違うところに来たような気分になりながらも、どこか共通する柔らかい空気感で迎え入れてくれる『十年二十年』。なぜこういったスペースを始めたのか、代表でグラフィックデザイナーの榊原直樹さんにお話を伺いました。

     

    ー「十年二十年」をはじめた経緯を教えてください。

    この物件は、5年ほど前からデザイン事務所とカメラマン事務所としてパートナーの寺島博美とともに二人でシェアしているオフィスです。
    当初から中央のスペースで、普段の仕事とは違う新しいことを始めたいと話していました。都内でギャラリーショップをしていた友人の働きかけや、陶芸作家さんたちとの出会いをきっかけに、以前から収集していた手仕事のへの熱が高まり、工藝品ショップ兼ギャラリーをはじめることにしました。

    ー「十年二十年」という名前の由来を教えてください。

    長い年月、制作工程やデザインが変わらなものは、生活の中でも飽きのこないものが多いと感じます。100年とは言わないけれど、流行に流されず10年20年とそばに置いておきたいものを扱いたいと思い命名しました。

    ー手仕事製品販売と展覧会、2つの業態としたのはなぜですか。

    生活に溶け込む工藝も好きですし、生活感と少し距離のあるアートも好きです。一つのことだけに熱中するよりも自分にとってバランスがとれるんです。

     

    ー展覧会のスタートを『青木鐵夫 | 木版画展』で始めた経緯を教えてください。

    木版画は、手仕事の温かさや美しさが感じることができ、十年二十年の構想と合っていました。版画家の青木鐵夫さんは、高校時代の恩師になります。美術の先生であり美術部の顧問でした。私はテニス部でしたが、進学のためテニス終わりに美術室に行きデッサンを教えてもらいました。
    大学時代も気にかけてくださり、最初の就職先である東京のデザイン事務所も紹介してくれました。私がデザイナーになるために大きな力添えをしてくれた方です。その頃から「ギャラリーを持つことが出来たら、最初の展示は青木先生の作品で」と考えていました。こういったことで少しでも恩返しが出来ればと思っています。

     

    ー展示・販売ともに今後どういった展開をしていく予定ですか。

    展覧会については、不定期での開催となると思いますが、北海道や札幌ではあまり知られていない作家さんを紹介していきたいです。私がグラフィックデザイナーと言うこともありますが、絵画や写真など平面の表現をされている方を中心に考えています。
    手仕事のショップは、作り手さんのもとへ足を運び、アイデアを交換しながら制作した商品を扱うことが出来たら面白いと思います。
    本業であるグラフィックデザインの仕事もあるため、ゆっくりになりますが納得出来ることを自分のペースで続けていけたらと思います。

    ー空間や什器などこだわりなどありましたらお教えください。

    什器は全て自分でデザインをして、専門の職人さんたちに造作していただきました。木材は地震での倒木や古材などの道産材を使い、ストーリーのある什器を制作しました。木こりのOut woods、木工のThreekさんにはとてもお世話になりました。
    鉄の加工をしてくれた ScBさんは制作のアドバイスなどたくさん協力していただきました。レジカウンターは側面が洗い出し仕上げで、左官職人さんが連日来て制作してくれたものです。

    ー今後どんな空間にしていきたいですか。また、どんな方たちに来ていただきたいですか。

    心地よい刺激を感じることが出来る空間にしたいです。
    大げさに言うと世界って美しいなぁとか、人生って素晴らしいなぁと少しでも感じられる場所に。手仕事やアートに興味のある方はもちろん、それは難しいものだと遠ざけている方にも来て欲しいです。

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    十年二十年
    札幌市中央区南3条東1丁目メゾンRN4階
    instagram:@junen_nijunen

     

    インタビュー:カジタシノブ
    会場写真提供:寺島博美

     

     

  • 札幌テレビ塔からすぐの場所に「GALLERY CLAC」がオープン

    「GALLERY CLAC」が今週末6月11日(土)オープンします。場所は、大通公園のランドマークである札幌テレビ塔から横断歩道をわたってすぐのビル1F。ここ数年は札幌駅・大通公園近郊のギャラリーの移転・閉廊、そしてコロナの影響で街中の展示を楽しむ機会が減っていたなか、嬉しいニュースでした。着工したばかりの「GALLERY CLAC」で、オーナーの佐々木さんにお話を伺いました。

     

    ー「GALLERY CLAC」をはじめる経緯を教えてください。

    もともとは違う目的で借りていた物件でしたが、単一の色付けをするにはもったいない場所だなという気持ちがありました。 個人的に古物やアートが好きだったのと、仕事上デザイナーさんや作家さんとお仕事をする機会も多かったので、放課後のクラブ活動的な感じでそういう方々と一緒に面白いことができたらという思いからギャラリーを作ろうと思いました。 

     

    ー内装、ロゴ、企画など様々な方が関わっているとお聞きしました。どのような出会いから、依頼するに至りましたか。

    ギャラリーを作ろうと思った時に、この人と一緒にやりたいなと思った人が何人かおりまして、お声がけをさせていただきました。話をしていく中で色々と構想が膨らんでいった感じです。ロゴ周りのデザインは東京のデザイナーの小林一毅さんお願いしました。一毅さんも一緒にお仕事をしてみたいと思っていた1人でして、すごく良いタイミングでご縁をいただき依頼させていただきました。企画はチームみんなで持ち寄って、面白そうなことを形にしていけたらなと思ってます。

     

     

    ーCLACという名前の由来を教えてください。

    クラックという言葉は一般的にネガティブな印象を持つ言葉ですが、芸術の分野で言えば、『面白いアプローチ』や『斬新』というような意味あいで使われたりします。対極の意味を一つの言葉で表す面白さを感じました。木工作品などでいえば割れやひびなどのことをクラックといいます。本来それはネガティブな要素と捉えられますが、それをあえて好む人がいたり、予期していない出来栄えを美しく感じたり、良し悪しは表裏一体だと思っていまして。作る側も受け取る側も良いと思う感性は人それぞれなので、そういう感覚の違いや気づきを楽しめる場にできたらという思いもありこの屋号にしました。 

     

    ー最近は街中のギャラリーが減っています。駅からもテレビ塔からも程近いこの場所にしたのはなにか理由がありますか。

    札幌のランドマークであるテレビ塔の裏という案内のしやすさ。また創成川の遊歩道に面しており、中心部にありながら時間の流れがゆっくり感じられる場所だなと。そういう部分が文化的な活動の場に適していると思いました。またご利用いただく方にとって集客もしやすく認知もされやすい場所なので使い勝手もよいのではと考えています。

     

    ー空間や什器などこだわりなどありましたらお教えください。

    展示物の邪魔をしない空間、什器。 どのような色付けにも対応できる空間がよいなと思い極力シンプルな作りに仕上げました。
     

     

    ーグラフィックデザイナーの展示がこけらおとしですが、今後はどういった展開していく予定ですか。

    6月11日からは新林七也さんの個展。その次にはクラフト作家さんによるグループ展が控えています。 今後は何か特定のジャンルを中心にしようというのではなく、自分たちが良いと思えるものや 面白いと感じることを展開していけたらと思っています。

     

    ー今後、どんなギャラリーにしていきたいですか。

    既成概念に囚われず様々なジャンル・業界の方が情報発信できる場所にしたいです。 ここはいつも何か面白そうなことをやってる場所だなと思っていただけたらうれしいです。
     

    「こちらから色付けせず、フラットな場所にしたい」と語るオーナー。 さまざまな作品や人との出会いが刻み込まれていく「GALLERY CLAC」の今後が楽しみです。

     

    インタビュー・撮影:小島歌織
    会場写真提供:CLAC
    協力:中西洋也

  • アート好きにおすすめの第13回札幌短編映画祭 上映作品

    今年で13回目を迎える札幌国際短編映画祭。毎年コンペティション作品の上映と様々な特集プログラムを上映しているこの映画祭、今年は世界106の国と地域から応募された3604作品の中から選ばれた93作品が10月11日(木)〜14日(日)札幌プラザ2・5をメイン会場として上映されます。
    また、今年は翌週10月19日(金)〜21日(日)に「特別/アワード上映」としてコンペティション作品の中から受賞作品の上映や特定のテーマで集められたプログラムを上映。

    コンペティション作品はまさに多種多様であり、映像表現を用いた様々な作品が一同に介しています。そんな中からフェスティバルディレクターの島田英二さんに「アート好きにおすすめするとしたら」ということで作品をチョイスしていただきました。

    『共生-ダンス・ウィズ・AI』 原題:CO(AI)XISTENCE 12分37秒
    監督:ジャスティン・エマール 

    監督のジャスティン・エマールは写真、ビデオ、インスタレーション、拡張現実など様々なメディアを用いてイメージについての探究を行っているアーティスト。今作は第7回モスクワ国際現代美術ビエンナーレでも出展された(出展時の様子リンク)人とアンドロイドがダンスで対話を行う実験的作品。ダンスは近年俳優としてよりもダンサーとしての活躍が目覚ましい森山未來。共演するアンドロイド『オルタ Alter』は、あの石黒浩と池上高志の研究室が共同開発。
    人工知能によって周囲の環境を分析し音と身体で表現するオルタと、それに呼応する形で身体で会話をする森山未來。この作品は人間とロボットとの親密な対話が成立していくさまを丹念に映し出しています。

    上映プログラム:I-D
    10月11日(木)12:00
    10月12日(金)オールナイト29:00
    10月14日(日)16:00

     

    『血と炎』 原題:BLEEDING AND BURNING 2分36秒
    監督:ギラム・マリン Guillam Marin

    ダンスをする2人の人物が全身に赤と黒の布をまとうことで描かれる曲線は人間の身体を拡張し、人間ではない何かを想像させる。それを監督は「この作品はパレイドリアを生む」と表現している。パレイドリアとは視覚刺激を受けとり、普段からよく知っているパターンを本来そこに存在しないにもかかわらず心に思い浮かべる現象を表す心理学用語。ダンス表現が映像という一視点からの記録を得ることでその表現力が数倍にもなった作品です。(予告編)

    上映プログラム:I-D
    10月11日(木)12:00
    10月12日(金)オールナイト29:00
    10月14日(日)16:00


    『Reruns』 14分23秒
    監督:ロスト Rosto

    「すべてが違っていて、でもすべてがなにも変わっていない。」哲学的な説明とともに水中に浮かぶような子どもの映像。記憶や夢を映像化したらこんな感じでは?映像作品としてそのビジュアルの美しさは目を見張るものがあります。(予告編)

    上映プログラム:I-E
    10月12日(金)17:00/22:00
    10月13日(土)12:00


    『DOWN ESCALATION』
    監督:林俊作

    監督の林俊作は中学2年生の時に第10回文化庁メディア芸術祭で奨励賞を受賞。2011年にはダミアン・ハーストなど多くの人材を排出しているイギリスのゴールドスミス・カレッジに入学。昨年札幌国際短編映画祭でも上映された『Interstitial』が先日ボルトン映画祭でベストエクスペリメンタルを受賞。アカデミー賞短編アニメーション部門の審査資格リストに入るなどその活躍は目覚ましい。そんな彼の最新作が上映。絵画が動くようなアニメーションを是非体感してください。

    上映プログラム:N-B
    10月11日(木)20:00
    10月13日(土)オールナイト25:30
    10月14日(日)10:00

    ——
    今年の札幌国際短編映画祭では2日間オールナイト上映が行われるなど映画漬けで過ごすことができるタイムテーブルとなっています。今回ご紹介した作品はあくまでごく一部。感動するドラマものもあればアニメーション、ドキュメンタリーや爆笑してしまうコメディまでその表現は実にさまざま。今まで行ったことがない方もその映像世界の多様さに触れてみてはいかがでしょうか。


     

    第13回札幌国際短編映画祭
    http://sapporoshortfest.jp/18/

    ▼期間
    ◎プログラム上映

    2018年10月11日(木)〜14日(日)
    ◎特別/アワード上映会
    2018年10月19日(金)〜21日(日)
    ◎アワードセレモニー
    2018年10月14日(日)20:00〜(予定)

    ▼メイン会場
    札幌プラザ2・5 :札幌市中央区南2条西5丁目(狸小路5丁目)

    ▼​料金

    1プログラム券 当日1300円/3プログラム券 当日3300円

     

  • ART AleRT SAPPORO 編集部 マンスリーピックアップ 2018年2月

    2月の札幌といえば全国的に有名なのがさっぽろ雪まつり。一時期は地元民はなかなか足を運ばないイベントになっていましたが、近年は雪の白さを利用した大規模なプロジェクションマッピングや、大雪像を舞台にしてパフォーマンスを行っていたりと地元民も楽しめるイベントへと変貌を遂げつつあります。個人的には世界中の人が参加する国際雪像コンクールが毎回シュールで楽しみです。そんな感じで編集部のうちの1人が独断と偏見で気になるイベントを紹介するこのシリーズ。今回は雪まつりのご近所特集みたいなかんじで集めてみました。2月の札幌は雪まつりだけではないんです。(文:カジタシノブ)

     

    開催中~2月11日(日) 札幌市北3条広場「アカプラ」
    −雪と光のプロジェクト−さっぽろユキテラス2018

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1447

    北海道庁赤レンガ庁舎(北海道庁旧本庁舎)前の道路を2014年に広場としてリニューアルした通称アカプラ。ここでは毎年雪まつり期間中に雪と光をモチーフにアーティストによる札幌ならではの作品展開をする「さっぽろユキテラス」を実施しています。4回目となる今回は体験型の仕掛けが施された雪山や、かまくら内での作品展示のほか、夜には光のバルーンなど雪で覆われた世界を存分に体験できる作品が数々並ぶようです。氷で作られたアイスバーも夜にはオープン。雪まつり会場である大通公園からも近いので合わせて足を運ぶのに最適です。寒かったら札幌駅前通地下歩行空間(通称チカホ)を利用して行けばほとんど外を歩かずに2会場を行き来できます。

    (2月7日追記)
    2月25日まで18:30~20:30赤れんが庁舎外壁を利用したプロジェクションマッピングKAMORI Wonder Lightsが開催されており、ユキテラスとともに楽しむことができます。実際に見てきましたが作品の長さ(12分)、音響の良さ、映像の素晴らしさは雪まつり会場で多数開催されているプロジェクションマッピングよりも素晴らしく(個人的意見です)、足を運ぶ価値があります。

    開催中~2月12日(月) 札幌市資料館
    さっぽろ垂氷(たるひ)まつり2018

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1426

    さっぽろ雪まつり会場である大通公園の西端にある歴史的建造物「札幌市資料館」を会場に、こちらも雪まつり期間中に実施される「つらら」をフューチャーしたイベント。3年に1度開催の札幌国際芸術祭から派生したSIAFラボが手がけるつららをテーマにした展覧会で、今年3回目を迎えます。資料館入り口には昨年よりさらに精度が上がった回転式巨大つらら造形マシンや、室内には曲がりくねったつららを人工的に作るマシンなどが展示。北国でなければ見ることができないつららを多角的に楽しむことができます。実際に採取したつららを3Dスキャンしたグッズの販売や制作ワークショップも。夜には入り口の回転式巨大つらら造形マシンがライトアップされていて、なんだか幻想的な雰囲気に。雪とはまた違った北国の象徴であるつらら。雪像とともに楽しめそうです。

     

    開催中~3月2日(金) 北海道文化財団アートスペース
    磯 優子 個展 「私という重なり」
    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1383

    こちらも雪まつりの会場である大通公園のすぐとなり、北海道文化財団のアートスペースで開催されている磯優子さんの個展。磯さんは個人的にとても注目している作家さんの1人。とりあえず札幌から10人平面作家選べ!って言われたら今なら絶対選びたい。版画とCGを駆使してシンプルで洗練された線で構成されながら多彩な表情と肉体を見せてくれる女性たちを描く作家さん。CGだけではないからこそ感じられる柔らかな質感も実物を是非目にしていただきたい。磯さんは昨年は宮の森美術館から発信されたアートとカフェを楽しむ円山宮の森散策mapのデザインを手がけるなどデザイナーとしても活躍。また3月7日から東京の3331で開催される3331ART FAIRにも出品予定などすでに活躍の幅がすごい勢いで増えてらっしゃる様子。会場である北海道文化財団アートスペースが平日17時まで、しかも土日祝日は閉まっているというなかなか狭き門ですが、タイミングが合えば是非。

     

    2月7日(水)~2月12日(月) 教育文化会館小ホール
    札幌演劇シーズン2018冬 レパートリー作品 弦巻楽団『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1374

    もうしつこいですが、こちらも雪まつりの会場である大通公園のすぐそば(といっても大通公園は1〜13丁目までありますが)、教育文化会館で開催される演劇作品。過去に札幌で上演された数々の作品の中から優れたものだけを選び1ヶ月間に5作品上演する企画札幌演劇シーズン。年2回開催されるこのイベントは昨年冬から、演劇シーズンで上演したものの中から厳選した作品を再度上演する「レパートリー作品」という枠を設立。今回のレパートリー作品は以前若手演出家コンクール2014で最優秀賞を受賞した際にインタビューにも出演いただいた弦巻啓太さん率いる弦巻楽団による『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』が上演されます。恋愛を幻想としか思わないシェイクスピア専門の大学教授がラジオの声に恋をしちゃって大暴走するラブコメディ。過去のレパートリー作品も演劇初見の人でも楽しめると好評なようなので、今回も要注目です。公演特設サイトではより詳しい情報もご覧いただけます。

     

    2月15日(木)・16日(金) PROVO
    川上未映子×マームとジプシー MUM&GYPSY 10th Anniversary Tour vol.2 「みえるわ」​

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1417

    東京ではチケットがほとんど手に入らないほどの人気団体である演劇団体マームとジプシー。率いる藤田貴大さんは北海道伊達市出身。昨年札幌国際芸術祭2017で行われた企画「さっぽろコレクティブ・オーケストラ」に演出協力として参加(同企画コンダクターの大友良英さんとの対談記事)。また同時期に10周年第1弾ツアーとして札幌でも初めて公演が行われました。今回の10周年第2弾ツアーは小説家・川上未映子さんとの共作。書き下ろしを含む複数の詩を演劇として表現するとのこと。2013年から続く川上未映子氏とマームとジプシーの新たな表現を見られる貴重な機会です。と思って今見たらチケットソールドアウトでした。気になった方は今後札幌で公演がある時は早めにご購入を。公演の前日である2月14日には先程ご紹介した北海道文化財団アートスペースにて藤田貴大さんと俳優の青柳いずみさんを迎えてのトークが開催とのこと(詳細)。限定30名ですがまだ発表されたばかりですので気になる方はチャンスです。

     

     

     

    というわけでさっぽろ雪まつり会場を中心にご紹介した今回。とはいえ2月は雪まつり期間以外にも、札幌中心部でなくとも様々なイベントが開催されています。是非ART AleRT SAPPOROでチェックしてみてください。また、あまりART AleRTには掲載されていませんが2月は卒業制作展シーズンでもありますので若い力を見に行くのも一興です。学校の関係者の方は是非開催情報お送りください!(イベント情報提供はこちらから

  • ART AleRT SAPPORO 編集部 マンスリーピックアップ 2018年1月

    2018年、あけましておめでとうございます!AA編集部マンスリーピックアップ、年明け一発目をお届けします。編集部の1人が独断と偏見で気になるイベントを紹介するこのシリーズでは、登録されているイベントの中から1ヶ月間のあいだに筆者が「見たい!」と思うイベントを日付順に紹介していきます。おでかけの際、ちょっと何か見に行きたい気分、そんなときにぜひ使ってみてください。(文:山本曜子)

     

    1月12日(金)-28日(日) ギャラリー門馬&ANNEX

    ノーザンアーツ コラボレーション -睦月-

    北欧と北海道とを結び、それぞれの作家を紹介する独自のキュレーションを2012年から手がけている多田浩二さん。筆者は彼の主催する展覧会を楽しみにしています。多田さんの選ぶ北欧在住作家の作品に、いつも新鮮なインパクトを受けるのがその理由。今回はフィンランド作家7名、北海道作家7名、合わせて14名ものアーティストの作品が一堂に会する、錚々たるグループ展。会場となる旭ヶ丘のギャラリー門馬で、北欧や札幌が美しさを増す厳冬の雪景色をバックに、さまざまな表現や作品との出会いが待っています。同じ北国にあって共通する感覚、また異なる点を探してみるのも楽しそう。初日12日(金)18時からはオープニングパーティーが開催されるので、こちらも足を運んでみてはいかがでしょうか。

     

    1月20日(土)-28(日) 生活支援型文化施設コンカリーニョ

    イレブンナイン「サクラダファミリー」

    年2回夏と冬、札幌の演劇モードが全開になる「札幌演劇シーズン2018-冬」は今年も1月20日にスタートします。一定の期間に1つの劇団がそれぞれ人気の1作品を再演し続けるという、演劇好きの人はもちろん、初めて演劇に触れる方にも絶好の機会。今回は札幌が誇る5つの劇団のレパートリー作品を市内各所で体験できます。そこでまさに演劇初心者の筆者が気になったのが、イレブンナインの名作「サクラダファミリー」。タイトルにクスッときて内容を追うと、頑固で気難しく横暴な上にバツ6で家族中の嫌われ者、という猛者のオジイさんが、2017年の大晦日に7人の妻と7人の子どもたちを集めて、自身の秘密を暴露する…この筋書きのあまりの不穏さと興味深さに、つい舞台をのぞきたい心持ちに。先月のコラムでカジタさんが「エンターテイメントの名手で実力派俳優」と評していた納谷真大さんの存在も気になるところ。家族とは、個とは、血の繋がりとは…普遍的かつ奥の深い命題に触れつつ、とにかくライブ感を味わいながら鑑賞してみたい作品です。

    札幌演劇シーズン2018-冬 公式サイト

     

    1月20日(土)-2月24日(土) CAI02

    ミヤギフトシ「The Dreams That Have Faded/いなくなってしまった人たちのこと」

    沖縄出身のミヤギフトシさんによる北海道初の個展。彼は自身の記憶や体験に向き合いながら、国籍や人種、アイデンティティといった主題を落とし込んだ作品で知られるアーティストです。2016年のあいちトリエンナーレ「交わる水-邂逅する北海道/沖縄」で発表した北海道・オホーツク海を始めとした海にまつわる5つの映像インスタレーションを再構成した作品や写真が展示されます。注目したいのは、ミヤギさんが北海道を題材にするにあたって手がかりにした本が『ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語』(津島佑子著)だったということ。かつて網走にもその一部の人々が居住していた樺太の少数民族ウィルタを軸にした物語を通して、ミヤギさんが北海道という土地に残る声を聴きとり、伝えようとしたものとは?北海道がもつ歴史の一面を垣間見るという意味でも、個人的に見逃せない展覧会です。

    蛇足ですが、筆者は網走で今もつくられているウィルタの木偶「セワポロロ」を偏愛しています。ちょっととぼけた(失礼)表情の神様で、網走の北海道立北方民族博物館ではウィルタの人々のつくった古いセワポロロも見られます(さらに蛇足ですが、この博物館は北方民族や民具に興味のある人には絶対オススメ!)。

    また、21日(日)は北海道大学総合博物館にてミヤギフトシさんによる上映会&アーティストトークが開催されるので、詳しくはタイトルリンク先でご確認を。

     

    1月21日(日) BHFホール

    キセル「The Blue Hour」発売記念ワンマンTOUR 2018

    狸小路2丁目プラザ2.5ビルの地下に2017年オープンした劇場形式のBHFホール。ふわりと漂うような雰囲気に、しっとり聴かせるサウンドが持ち味のキセルには、こんな座席タイプのコンサートも似合っています。兄弟ならではの息のあった柔らかい声のハーモニーに、ギターやベースの生音、デジタルミュージックが織りなす世界。ここにいながらどこか遠くの風景に迷い込むような不思議な感覚は、生だからこそ味わえる一期一会の体験です。是非じっくりと身をゆだねてみて。

    ニューアルバム『The Blue Hour』特設サイト

     

    そして、おかげさまでART AleRT SAPPOROは1月15日でサイトオープンから3年目を迎えます。いつも当サイトを訪れてくれる皆さま、応援して下さる皆さま、ありがとうございます!今年も札幌の気になるイベントをどしどし発信していきますので、どうぞご利用くださいね(そして引き続きボランティア運営ゆえ物理的な応援も募集中…!新年早々恐縮ですがこちらもよかったらご覧くださいませ!)。

     

  • ART AleRT SAPPORO 編集部 マンスリーピックアップ 2017年12月

    新たにはじまった新シリーズ編集部マンスリーピックアップ。編集部のうちの1人が独断と偏見で気になるイベントを紹介するこのシリーズは、登録されているイベントの中から編集部のメンバーの1人が1ヶ月間のあいだに「見たい!」と思うイベントを日付順に紹介していきます。掲載されている情報を元に書いているので間違ってたらごめんなさい。皆さんが「何か見に行きたいな」と思ったときのちょっとした参考程度に是非お使いください。(文:カジタシノブ)

     

    開催中~12月8日(金) ペーパーショップサクマ
    札幌レトロ・グラフィックス展

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1336

    札幌の戦後あたりに作られたグラフィックを並べているだけなのかと思ったら、アプローチが全然違う。この展覧会の中心にいるのは謎の図案家M・M氏、その人物が作ったものは勿論、彼のコレクションを並べるというこの展覧会。誰だかわからない。全く想像もつかない。けどなんか気になる。展覧会を見たらわかるのだろうか。どんなものを作った人なのだろうか。考えると余計気になってくる。完全に宣伝に負けた気分なんだけど、それを知るには行くしかないんだろうなあ。会場のペーパーショップサクマさんは札幌には数少ない紙の専門店。素材好きは展覧会を観るのと同時に世の中にはどんな紙があるのか見だすと止まらないと思いますのでお時間に余裕を持って。

     

    開催中~12月10日(日) ト・オン・カフェ
    松浦シオリ展 「夢見始め」

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1359​

    札幌在住の松浦シオリさんの約1年半ぶりの個展。展覧会でお見かけする意外にも書籍の表紙やフライヤービジュアルなどイラストレーターとしても多方面で活躍している松浦さん。もしかしたら皆さん気づかないところで目にしているかもしれません。実際私も最初に観たのは書店で並ぶ本の表紙でした。(→参考) 日本画のように見えるその絵はすべてコンピューターで書かれたもの。一瞬古い絵画を観ているような錯覚を覚えますが、よく見ると現代的なモチーフやそこかしこに。今回の展示タイトル『夢見始め』は作家のこれからの夢、目標に向けた出発点にしたいとの思いが込められてるとのことなので、彼女の新しい一面が見えるのか、それとも今までのより進化した姿が見られるのか、非常に楽しみです。

     

    開催中~12月11日(月) ギャラリーレタラ
    冨田美穂展 牛のつむじ

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1366

    DMを見て「牛だなー北海道っぽいなー」と思って調べたら作家の冨田美穂さんは牛をモチーフに絵画や版画作品を作り続けている牛の作家さん。東京出身で武蔵野美術大学を卒業後、北海道で酪農に従事されているというそのキャリアの中、どの時点で牛にテーマを絞ったのでしょう。と思ったらインタビュー記事がありました。(→記事) 今年始めには第20回岡本太郎現代芸術賞にやはり牛の作品で入選。ここまで牛を見つめ描き続けている人の作品となると俄然見たい気持ちが沸き起こる。むしろ見続けてみたい。そして「牛だなあー」って思いたい。

     

    11月29日(水)~12月3日(日) OYOYO まち × アートセンター さっぽろ
    都市標本図鑑

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1368

    写真の展覧会は色々ありますが、個展などでない限りなかなか特定のテーマに絞った写真の展覧会はあまり見かけることはありません(見逃してるだけかもしれません)。そんななか路上観察系で街を撮りそれを「標本図鑑」として並べる展覧会はなんだかとても楽しそう。普段目にしている風景はいつのまにかそれが当たり前になりますが、ふと見かたを変えたりすると途端に魅力的なものに見えてきたりします。こういうのは古くは赤瀬川原平らが始めた路上観察学会や最近では写真家の大山顕さんあたりが有名でしょうか。大好物なんで楽しみです。会場であるOYOYOは12月いっぱいで建物の老朽化により惜しまれつつも閉館します。

     

    12月12日(火)~12月29日(金) ト・オン・カフェ
    jobin.個展「漂う明日」

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1363

    毎年年末にはト・オン・カフェで個展を開くjobin.さん。モビールを中心にクラフトと美術の間をさまようように表現をし続ける彼の作品は、実際に観る時間帯や、そこにいる人によっても見せる景色が変わってきます。会場のト・オン・カフェは大きな窓が設置されているのでそれがより顕著に見える展示。良く展覧会を見に行く人の中にはjobin.さんの毎年行う年末の展示を季節の風物詩のように感じている人もいるのではないでしょうか。カフェでお茶をしながらのんびり作品を観るのも一興です(展示観覧のみでの入店も可能です)

     

    12月16日(土) 札幌プラザ2.5
    変態アニメーションナイト ザ・ツアー セレブレート in 札幌

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1325

    タイトルは変態だしチラシはB級ホラー映画。その実態は一生忘れられないくらいのインパクトを残す短編アニメーションを集めた上映&トークイベント。そこで上映されるの皆が想像するテレビアニメ的なものとは全然違う。過去数回全国で巡回上映された変態アニメーションナイトですが、今回は「ザ・ツアー」と称して上映とともにMCが喋りながらのコメンタリー上映。今までは心の中でしか突っ込めなかったことを、出品作家も交えて、むしろおおやけに楽しむスペシャル回。MCを担当するのは作品世界からは想像もつかない話術を持つ水江未来さんと、新千歳空谷国際アニメーション映画祭でフェスティバルディレクターも務める土居伸彰さん

    ART AleRT SAPPOROをご覧の方に抽選で「変態アニメーションナイト ザ・ツアー セレブレート in 札幌」招待券を5名の方にプレゼント!
     
    以下の内容にてメールをお送りください。ご応募いただいた方の中から厳正なる抽選を行い、当選者を決定いたします。当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
    応募締め切り:12月4日(月)23:59必着

    (1)件名
    「変態アニメーションナイト札幌」応募

    (2)宛先メールアドレス
    ono.tmk@gmail.com [宣伝・運営]小野朋子

    (3)本文
    郵便番号・住所・氏名・電話番号・メールアドレスをご記入ください

     
    ※お送りいただいた個人情報は「変態アニメーションナイト ザ・ツアー セレブレート in 札幌」の招待券抽選以外の目的には一切使用いたしません。
    ※送り先アドレスは「変態アニメーションナイト ザ・ツアー セレブレート in 札幌」運営担当者様となります。お問い合わせがありましたら上記アドレスにお願い致します。
     
    主催:「変態アニメーションナイト ザ・ツアー セレブレート in 札幌」

     

    12月16日(土) 道新ホール
    シークレット歌劇團0931★15周年記念公演『エリザベーーート!』~本物を知りたければ本物を見るがよい~

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1343​

    一度でいいから見てみたい。そんなことを思いながらもう何年経ってしまったのか。チケットが販売後即完売、そんな噂を耳にすれども、そんな即完イベント、宣伝もそんなに見かけることない。そんなシークレット歌劇團0931が昨年から道新ホールをメイン会場とし多少チケットが出回るようになった。今調べてみたらまだチケットは買えるよう。年に1回しか公演していないので観られるチャンスもそんなにないかもしれない。まるで宝塚のような見た目で繰り出される爆笑の嵐ってどんななんだろう。気になる方はこの少ないチャンスをものにしない手はありません。

     

    12月21日(木)~12月24日(日) 生活支援型文化施設 コンカリーニョ
    コンカリーニョプロデュース企画  大人VS中高生第2弾「鰤がどーん!」

    https://artalert-sapporo.com/events/detail/1351​

    1つのお話を2人の演出家が、かたや大人の俳優たち、かたや中高生たちをキャストに発表するこの企画。演劇というものがキャストはもちろんのこと演出家の手によって大きく変わるのだということがよくわかる企画です。演出にはエンターテイメントの名手で俳優としても多方面で活躍するELEVENNINESの納谷真大さんと、その表現が道内だけでなく大阪・東京でも注目を集めるintroのイトウワカナさん。脚本は演劇の楽しみ方の一翼がよくわかる企画じゃないかと思うので、「演劇を楽しんでみたい」方は是非片方だけではなく両方ご覧になってみることをお薦めします。しかし、「鰤(ぶり)がどーん!」てすごいタイトルですね。

     

     

    札幌で街の中心部にありつつ、よそではできないイベントも多く受け入れてきたOYOYOがいよいよこの12月で閉館を迎えます。ここがなくなることで行き場を失う人々がでてくるのか。新たなスポットや受け入れるスペースが誕生するのか今後に注目しています。

  • いよいよ全貌が見えてきた札幌国際芸術祭2017

    今年2017年8月6日から札幌市内全域で開催される札幌国際芸術祭2017(略称SIAF2017)の全貌発表の記者会見が先日5月11日さっぽろテレビ塔で行われました。

    2014年、坂本龍一さんをゲストディレクターに迎え始まった札幌国際芸術祭。2回目となる今回はゲストディレクターに大友良英さんを迎え「芸術祭ってなんだ?」をテーマに開催されます。先日の発表ではサブテーマとして「ガラクタの星座たち」が発表されました(サブテーマについては公式サイトをご参照ください)。前回の発表より数倍に増えた今回の内容、全て紹介するのはすごいボリュームになりますし、より詳しい情報は各種ニュースサイトに取り上げられるので、ART AleRT SAPPOROでは道外の方向けに会場からフィーチャーして札幌国際芸術祭2017をご紹介します。

     

    広大な彫刻公園『モエレ沼公園「RE/PLAY/SCAPE」』

    モエレ沼公園

    札幌の観光地としても有名なモエレ沼公園。彫刻家イサム・ノグチが基本設計を行い公園全体がひとつの彫刻作品になっていることでも有名です。広大な敷地が幾何学的な稜線をもった山や噴水、遊具などがそこかしこにあり、その風景はどの地点から見ても他では見られない光景が展開され様々なCM・映像作品のロケにも使われています。写真映えする風景と言ってもいいかもしれません。もちろんそれだけでなく配置されている遊具は小さなお子さんでも楽しく遊べる色々な形の滑り台や大きなブランコなどがたくさんあり、夏には楽しく遊べるモエレビーチなどが登場し、多くの家族連れで賑わいます。

    そんなモエレ沼公園で展開される「RE/PLAY/SCAPE」は、元々発表されていた大友良英+青山泰知+伊藤隆之による《without records》とコラボレーションする形で伊藤隆介の参加が発表されました。伊藤隆介はこの公園が出来る以前はゴミ処理場だった歴史に焦点を当てたジオラマ作品を発表するとのこと。また、公園のいたるところで大黒淳一×SIAFラボによる会場の環境データを利用した音響彫刻も展開されるそうです。札幌市民にとっては馴染みのあるモエレ沼公園を様々な視点から見直すきっかけとなることでしょう。

    もちろん、まだモエレ沼公園に行ったことがない方は公園自体を楽しむとともに芸術祭作品を堪能できる貴重な機会となりそうです。札幌都心部からは少し離れているので時間に余裕を持って行くことをオススメします。お弁当を持っていってもいいかもしれませんね。

     

    森の中に美術作品、美術館が点在する
    『芸術の森「NEW LIFE:リプレイのない展覧会」』

    もう1ヶ所、都心部から離れているけれど見逃せない展示会場である芸術の森。広大な敷地の中に美術館や工芸館、野外美術館(森の中に立体作品などが点在しています)などの展覧会場や、アートホールや野外ステージ、さらには歴史的建造物である有島武郎邸などがある非常に広い施設です。

    今回の芸術祭ではこれら点在する施設及び野外美術館も含めた広大な森全体を使って展開する「NEW LIFE:リプレイのない展覧会」が開催。ここで展示をおこなうのはいずれも音を表現の入り口として唯一無二の活動を続けてきたアーティスト達。すでに発表されていたボアダムスのEYƎ刀根康尚などに加え、今回新たに世界的アーティストであるクリスチャン・マークレーが発表されました。

    また会期中である9月3日には芸術の森野外ステージで日本からOKI原田郁子、台湾から原住民族のアーティストも迎え行われる音楽フェスティバル「マレウレウ祭り in SIAF2017~目指せ100万人のウポポ大合唱~」が開催されるので、この日に行けば、芸術の森をまるごと楽しめるかもしれません。

    広大なうえに起伏のある施設ですので、芸術の森を訪れる際は歩きやすい靴を履いていくのがオススメです。また芸術の森の隣にある札幌市立大学では2016年に「40 Under 40 アジア・パシフィック アジア太平洋地域で最も影響力ある40歳以下の40人」に選出された毛利悠子作品も展開されるので、全てを見ようとすると結構時間がかかります。森林浴がてらのんびり半日かけるくらいのほうが慌てずにじっくり楽しめそうです。近くに食事をとれるお店があまり多くないので午前中から芸術の森に行き、そのあと町の中心部の展示に移動するなどして北海道のおいしい食事を探すのも手です。

     

    札幌軟石の石切り場跡を利用した石山緑地
    「OPEN GATE 2017」

    芸術の森へ公共交通機関で行く場合、地下鉄とバスを乗り継がなければいけません。そのバスの途中にある石山緑地では9月15日から18日の4日間、『Asian Sounds Research Presents 「OPEN GATE 2017」 ~ 動き続ける展覧会 An ever-changing exhibition』が開催されます。石山緑地はかつて建材に最適とされた札幌軟石の巨大な石切り場跡を公園へと再生させた他では見ることができない空間です。ここで開催される「OPEN GATE 2017」は日没前後からパフォーマンスが始まります。それまでに芸術の森や札幌市立大学を見て、石山緑地へ向かうコースはとても充実したものになるでしょう。

     

    札幌国際芸術祭2017、1日で全部回るのは無理?

    先にご紹介したモエレ沼公園と芸術の森。それぞれ広大な敷地面積を誇る施設な上、札幌市中心部を挟んでモエレ沼は北側、芸術の森は南側とかなり離れています。他にも数十箇所ある会場と全てを1日で回るのはおそらく無理でしょう。今回の芸術祭では街の中心部にも複数の会場が点在しており、またホテルなども中心部に集中しているため、時間をうまく使いながら回って頑張れば2日、できれば3日間くらいあれば全て回れるかもしれません。せっかく北海道に来たのだからついでに旭山動物園や函館にも行こうなんて思ったら危険です。ちょっと東京から鎌倉に行くのとは違います。それぞれもう1日かかると思って計画を立てて下さい。

     

    いっそ宿泊先も芸術祭会場で
    『ゲストハウス×ギャラリープロジェクト「アートは旅の入り口」』

    札幌はホテルが足りないほど観光客が訪れていることもあり、数年前から多くのゲストハウスが建ち始めました。ゲストハウスとはドミトリーがあり、素泊まりできる宿泊施設のこと。かつては「バックパッカーなどの旅行者が利用する安宿」というイメージが強かったゲストハウスも、最近ではシェアしながら様々な人たちと交流でき、地域の魅力を発信する場として再認識されています。

    ゲストハウス × ギャラリープロジェクト「アートは旅の入り口」は、市内4つのギャラリーが企画した、8箇所のゲストハウスに北海道のアーティストの作品が展示されるプロジェクトです。夏の札幌はまさに観光シーズン。ホテルやゲストハウスのご予約は早め早めが確実ですが、ご予約の際の選択肢として、これらのゲストハウスを選ぶのも一興かもしれません。もちろん、宿泊せず作品を見るだけがOKの施設もあります。気軽に訪れて、ゲストハウスの雰囲気そのものも味わってみましょう。

    札幌国際芸術祭2017のチケットは5月17日から発売開始。会期中、有料会場に何度でも入場できるチケット(パスポート)が一般1,500円にて発売。札幌市民・道民の方は5月中に購入すると1,200円になるお得な道民割もあります。またパスポートをお持ちですと会期中土日祝に運行される、札幌駅とモエレ沼公園や芸術の森をつなぐ連絡バスにも乗車でき土地勘のない方でも迷うことなく2つの会場へと行くことができますよ。

     

  • 今年も開催!新千歳空港国際アニメーション映画祭の魅力

    新千歳空港国際アニメーション映画祭 2016」が今年も11月3日(木・祝)から11月6日(日)の4日間開催される。名前の通り世界中からアニメーション作品を一堂に集めた映画祭なのだが、ちょっと面白いのは会場が北海道の玄関口、新千歳空港のターミナルビルだということ。しかも空港内にはイベントホールだけでなく、宿泊施設や温泉施設も完備。会場で全てが完結するという、実はかなり珍しい「空港映画祭」なのだ。

     


     

    新千歳空港国際アニメーション映画祭」について少し説明すると第1回から行われている短編アニメーションコンペティションのほか、国内外のアニメーション作品、商業系アニメーション、クラシックアニメーション、そして爆音上映など、他のアニメーション映画祭よりも作品の幅が圧倒的に広い。アクセスが良く人が行き交う場所ならではの特色を生かし、さまざまな目的でアニメーションが楽しめるラインナップになっている。

     

    Illustration by ぬQ
    ー 空港という会場にふさわしいビジュアルもアニメーション作家が手がけた。「ニュ~東京音頭」で注目を浴びた新時代の人気アーティストぬQ(ぬきゅう)氏が作ったキャラクター「クリオネコ」のビジュアルやPRムービーが新たな発見や楽しい予感を感じさせる。

    同映画祭の実行委員であり、クリプトンフューチャーメディア株式会社の代表取締役である伊藤博之氏は「前回2回は実行委員や関係者の方と試行錯誤しながらも、既成の枠にとらわれずに取り組んできました。3回目の今回、上映作品は本当にバリエーション豊かで、古今東西という言葉が本当にしっくりくる。3回目にしてこんなに完成度が高くなって次回大丈夫か?って思うくらい(笑)。アニメ好きの方だけでなく、感動したいとか、新しい作品に触れたいと思う方が本当に来てよかったと思えるような作品群に仕上がっていると思う。」と太鼓判を打つ。そんな「新千歳空港国際アニメーション映画祭 2016」の注目プログラムをピックアップし、アートアラートおすすめのプログラムをご紹介したい。

     

    『私には未来がある』
     

    大注目のノミネート67作品が集結。「短編アニメーションコンペティション」

    映画祭期間中に行われる短編アニメーションコンペティションは、インターナショナルコンペティション部門、日本コンペティション部門、ミュージックアニメーションコンペティション部門の3つのカテゴリーからなり、ノミネートされた作品を審査員が審議し、受賞作品を決定する。今回は、66の国と地域1,232作品、過去最大の応募があった。その中から67作品がノミネートされ期間中上映される。
    注目したいのは、インターナショナルコンペティション部門でノミネートされた北海道のアニメーション作家である大内りえ子さんの作品『私には未来がある』。3回目にして初めて北海道のアニメーション作品が選ばれた。アニメーションの巨匠たち、世界の若手の名前と共にノミネートされた大内さんの作品はぜひチェックしてほしい。
    また、当日はノミネートした多くの作家が現地入りするとのこと。熱気ある会場の様子を肌で感じながら鑑賞してみては。

    また「新千歳空港国際アニメーション映画祭」ならではのカテゴリー、ミュージックアニメーションコンペティション部門も昨年より行われている。この部門はアニメーションを用いたミュージックビデオなど音楽が重要な役割を果たすアニメーション作品が対象だ。同映画祭のフェスティバル・ディレクターである土居伸彰氏はオリジナリティあるこの部門について「普段、ミュージックアニメーション作品は液晶画面やスマホなど小さな画面で観ることが多いと思うのですが、『新千歳空港国際アニメーション映画祭』では爆音上映の巨大なスピーカーを用いて、大迫力大音量で見て頂けます。ここでしか得られない視聴体験ができる、とてもユニークなコンペティションなんです。」と語る。審査員たちがどんな作品を選ぶのか結果を予想しながら楽しみたい。

    ・短編アニメーションコンペティションノミネート作品

     

     

    『アヴリル・アンド・ザ・エクストラオーディナリー・ワールド』
     

    話題の最新作から日本初上映作品まで。珠玉の「招待作品」

    招待プログラムは国内作品から海外の上映作品までバリエーション豊かだ。
    こうの史代の同名マンガを映画化した片渕須直監督作品『この世界の片隅に』は全国公開初日である11月12日にさきがけての先行上映となり、誰よりもいち早く作品を観たい方にオススメしたい作品。また、アニメーションの音を聴くvol.1 宮﨑駿監督作品『風立ちぬ』と題し、作品の音をスタジオのクオリティに近づけ、最上の音質で楽しめる上映も行われる。
    そのほか、本年のミュージックアニメーションコンペティション審査員でもある人気音楽ユニットgroup_inouが、話題沸騰中の映像ユニットAC部のVJでライヴを行う「AC部+group_inou ミュージック・アニメーション・ライブ」。group_inouは年内で活動休止を宣言しており、北海道で見られる最後のチャンスと噂される貴重なプログラムになりそうだ。
    そして、今だから再評価されはじめた作品もチェックしたい。虫プロダクション製作の『哀しみのベラドンナ』は劇場用成人向けアニメシリーズの3作品目であり、前2作品とは方向性が大きく異なったアーティスティックな内容、過激で官能的な描写などの理由から、発表当時には正当な評価が得られなかった。アートアニメーションが脚光をあびる今だからこそ再評価を期待する声が多くある作品である。今回の上映ではデジタルリマスターされた映像で楽しむことができる。
    国外作品ではアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門でグランプリを獲得したスチームパンク・アドベンチャー『アヴリル・アンド・ザ・エクストラオーディナリー・ワールド』や、人間愛を描くインドネシア初の本格長編アニメーション『バトル・オブ・スラバヤ』が日本初公開となる。国内ではなかなかみられない魅力的な作品も楽しんでほしい。

    ・招待作品
    『この世界の片隅に』
     アニメーションの音を聴く vol.1 宮﨑駿監督作品『風立ちぬ』
    「水曜どうがSHOWリターンズ」
    「AC部+group_inou ミュージック・アニメーション・ライブ」
    「日本アニメ(ーター)見本市」& 吉浦 康裕がパトレイバーREBOOTに至るまで」
    『悲しみのベラドンナ』
    「北海道現代アニメーション総進撃!」
    「日本アニメーション映画クラシックス」
    『アヴリル・アンド・ザ・エクストラオーディナリー・ワールド』
    『バトル・オブ・スラバヤ』
    『ウィンドウ・ホーセズ』
    『ジ・インビジブル・チャイルド』
    「カートゥーン ネットワーク・スタジオ スペシャルトーク」

     

    ⒸCONDOR FEATURES.Zurich/Switzerland.1988
     

    千歳空港国際アニメーション映画祭のハイライト!爆音上映

    音楽ライブ用の機材を使用することで迫力の大音響で上映する「爆音上映」では、映像化は困難といわれつづけてきた筒井康隆の同名小説をアニメ化し、平沢進が音楽を担当した今敏監督作品『パプリカ』、そしてコアなファンも多いヤン・シュヴァンクマイエル監督作品『アリス』がスクリーンに登場。今回の爆音上映はそれぞれ不思議な世界観を持った作品だけに、引き込まれそうだ。さらに大声での声援やアフレコやコスプレもOKの「応援上映」が爆音上映と合体。『KING OF PRISM by PrettyRhythm』『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』も一味違った参加鑑賞型のスタイルを楽しめる。この機会に臨場感あるプログラムを体験してみては。

    ・上映作品
    『KING OF PRISM by PrettyRhythm』
    『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』
    『パプリカ』
    『アリス』

    ※爆音上映とは
    通常の映画用の音響セッティングではなく、音楽ライヴ用の音響セッティングをフルに使い、大音響の中で映画を見・聴く試みです。

     

    ゲストトークやレクチャーで作品を深く知る

    短編アニメーションコンペティション、招待作品など紹介してきたが、それぞれ国外からゲストが招かれており、当日作家や監督本人が登壇するプログラムが多数予定されている。作者と距離が近いのも、この映画祭の醍醐味でもある。観終わったあと思い切って作者に話しかけて交流をはかるのもいいかもしれない。
    また、国際審査員等による上映とレクチャー「アニメーション マスタークラス」は今映画祭ならではのプログラム。「ベリー・ベスト・ブリティッシュ・アニメーション・アワード」では、「ブリティッシュ・アニメーション・アワード」の創設者であり今年の新千歳空港国際アニメーション映画祭国際審査委員長を務めるジェイン・ピリング氏が選んだ近年のベスト受賞作品集を上映。短編、CM、ミュージックビデオと多ジャンルにわたり、イギリスの豊かで先鋭的なアニメーション史を振り返るプログラムになりそうだ。そのほか、アメリカのインディペンデント・シーンの最重要作家の1人となったアニメーション作家クリス・サリバン氏の作品上映とレクチャー「アメリカからの小衛星:クリス・サリバン」など、国外のアニメーション作品について、深く知る貴重な経験ができそうだ。

    ・アニメーションマスタークラス
    ジェイン・ピリング 「ベリー・ベスト・オブ・ブリティッシュ・アニメーション・アワード」
    アニメーション作家 水尻自子 「感触を確かめる作業」
    ぬQのニュ~論
    アニメーション作家 クリス・サリバン 「アメリカからの小衛星:クリス・サリバン」
    アニメーション作家 チェン・シー 「二十四節気からの物語」

     

     

    第3回 新千歳空港国際アニメーション映画祭2016
    会期:2016年11月3日(木・祝)〜11月6日(日)
    会場:新千歳空港ターミナルビル(ソラシネマちとせ、センタープラザなどを予定)
    主催:新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会
    入場:前売り券はチケットぴあ、ローソンチケットで販売中

    ◎全期間パスポート 前売り券 2500円 / 当日券 3000円
    ◎1dayパスポート 前売り券 1500円 / 当日券 2000円
    ◎1プログラム券 当日券 1000円 ※前売り販売なし 制限数あり

    ◎学生1DAYパスポート
    映画祭期間中、学生証を持参の高校生以下の学生を対象に、
    毎日先着100名に無料で学生1DAYパスポートを発行

    ◎ご家族でインターナショナルコンペティション ファミリープログラム
    「インターナショナルコンペティション ファミリープログラム」
    (11月3日10:00~@シアター3、11月6日10:00~@シアター1)は
    全期間パスポート、該当日の1DAYパスポート、1プログラム券の
    いずれか1枚でご家族4人までご入場OK!


    文:小島歌織
    写真提供:千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会

  • ART AleRT SAPPOROができるまで

     

    無数にある、札幌のアート、デザイン、音楽、舞台などの展覧会やイベント情報。
    あなたなら、どう探しますか?

    例えば、ギャラリーやライブハウスやカフェに置いてあるDMを見つけるか、
    個人でコツコツ運営されているブログをチェックするか、
    誰かとの会話から見つけてくるか、
    きっと、様々なやり方で、地道に探している方が多いと思います。

    それも、余程アンテナを張っていない限りその情報を見つけることは難しく、
    ときに見たかったものを見逃してしまうこともあるのではないでしょうか。
    そんなジレンマを抱えた札幌在住のアート、デザイン、音楽、演劇関係者やファンは多いはず。

    「使いやすくて見た目もスマートな、
    札幌のアート・デザインなどのイベント情報サイトが欲しい!」

    そんな願いをずっと抱いてきた、このサイト構想の発案者である、
    それぞれデザイナーの小島歌織と佐藤史恵がTwitter上で声を上げ、
    そこに数名が加わり、サイト構想について意見を交わしたのが、2011年のことです。

     

    間が空いて2012年、Twitter上で二度目のやりとりが起きた時、イベントや展覧会の企画・運営・コーディネートを行なうカジタシノブがその輪に加わります。

    「こんなサイトに興味のある方、一度集まってみませんか?」
    カジタの呼びかけで、ライターや翻訳者が集まりました。
    「会社や団体ではなく、志のもとに自由に集まった自分達だからこそフラットなかたちで
    サイトを立ち上げることが出来るのではないか」という希望が生まれ、
    「ART AleRT SAPPORO」はその第一歩を踏み出すことになりました。

    集まったのは、デザインをする人、文章を書く人、翻訳する人、
    プログラマー、プロジェクトを盛り上げる人。
    幸いにもサイトを立ち上げるには十分なメンバーがそろいました。
    そして、このサイトに興味を持ってくれたり、
    支援してくれる人たちからの声も届くようになりました。

    私たちは「自分たちが使い続けたいと思えて、
    なおかつ人にも薦めたくなるサイトを作りたい」
    という熱意と勢いだけでこのプロジェクトをスタートさせました。
    それぞれに仕事を抱えているため、その歩みは随分のんびりなものでしたが、
    サイトを立ち上げる際の様々な制約をぬきに、楽しんでやるということを重要視して、
    手探りしながら準備してきました。

     

    さて、私たちは、「ウェブサイトを作りあげること」は達成しました。
    本当に大切なことは、これから継続して多くの人に使ってもらえるサイトにするため、
    常に情報を見つけ出し掲載すること、
    また展覧会をレポートしたり、生の声や現場の様子を伝えていくことだと思っています。
    そして、それを続けていくために支援してくれる方たちの声やご協力も、
    運営していく上で、なくてはならない力です。

     

    「ART AleRT SAPPORO」を"楽しんで"作り、そして続けていくこと。
    そんな想いを共有できる方たちと、ともにこの場を作って行けたらいいと思っています。

    サイトを訪れてくださった皆さまに
    「ART AleRT SAPPORO」を 楽しく活用して頂けるよう、日々頑張って参ります。
    皆さま、どうぞよろしくお願い致します。

     

    スタッフプロフィール

    ◎阿部 雅子 Masako Abe
    1975年岩手生まれ、札幌在住。
    舞台美術製作、デザイナーを経て、北海道演劇財団入職。演劇制作に従事。
    扇谷記念スタジオ・シアターZOO支配人。ACF札幌芸術・文化フォーラム事務局。
    演劇創造都市札幌プロジェクト事務局。札幌劇場連絡会事務局。

    ◎大西 由美 Yumi Onishi
    1980年小樽生まれ、札幌在住。
    札幌市内の大学で、外国人に日本語を教えている。
    当サイトでは、多言語化をめざし、外国人ボランティアとの調整等を担当。

    ◎カジタシノブ Shinobu Kajita
    1977年東京生まれ、札幌在住。
    イベントスペースATTICの立ち上げ・運営に参加。 2012年にはクリエイターや多様なジャンルのオーガナイザーが参加するシェアオフィスtabを設立。 イベントや展覧会などの企画・運営・コーディネートを行なっている。

    ◎小島 歌織 Kaori Kojima
    1982年苫小牧生まれ、札幌在住。
    グラフィックデザイナーとして広告デザインや企業のブランディングなどを手掛けながら、グラフィックやドローイングなど自身の創作活動を展開。最近では作品を冊子におさめるZINEを製作している。
    http://kojikko.flavors.me/

    ◎佐藤 史恵 Shie Sato
    1978年十勝・幕別生まれ、在住。1997〜2011年札幌。
    十勝、札幌において印刷物やウェブサイトを中心にデザイン制作を手がける。2007年より山本曜子とともに小冊子「旅粒」を発行。
    http://sa-plus-o.com/ , http://www.tabitsubu.com/

    ◎山本 曜子 Akiko Yamamoto
    1979年小樽生まれ、札幌在住。
    デザイナーの佐藤とともに小冊子「旅粒」を発行。ライター。
    http://www.tabitsubu.com/

     

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